樽貯蔵芋焼酎の可能性を求めて、
開発に着手したのは2000年でした。
エンヴェレシーダの発売までに
18年もの歳月がかかったことになります。
なぜこれほどまでに時間を要したのか。
正直に言うと、納得のいくものが創れなかったからです。
1985年に日本初の樽貯蔵麦焼酎を開発した田苑酒造。
樽貯蔵麦焼酎の生みの親、塚田定清からその想いは
後人たちに受け継がれました。
当社の技術とノウハウをもってすれば、
樽貯蔵芋焼酎の開発はさほど
難しいことではないと当初は考えていました。
そんな過信を打ち砕くかのように、
思うような酒はできませんでした。
塚田定清
それは、どんなによくできた芋焼酎でも、
それを樽で単に貯蔵するだけでは
素晴らしい樽貯蔵芋焼酎にはならないことの証明でした。
それほどまでに、芋焼酎のうまさと樽貯蔵による
うまさをひとつに昇華させることは難しかったのです。
挫折し、暗礁に乗り上げ、
もう止めようと思うようなこともありました。
しかし樽貯蔵麦焼酎のパイオニアとして、
鹿児島の焼酎メーカーとして、
芋焼酎だけで樽貯蔵焼酎を創ることへのこだわりは
譲れませんでした。
私たちは2006年、大きな方向転換をしました。
芋焼酎の定番原料である
黄金千貫へのこだわりを解き、
芋焼酎造りの常識にとらわれることなく、
樽貯蔵に最適な芋焼酎の開発をめざしたのです。
新たな試行錯誤のはじまりですが、
希望の光ははっきりと見えていました。
研究試験を繰り返し、一歩一歩、
目標に近づいていることが実感できました。
さつまいもという大地の夢に妥協のない挑戦を続けて、
ようやく満足のいく酒質に辿り着く道が
拓けていったのでした。
それから10年、ようやく本格的に樽貯蔵芋焼酎の製造を開始。
全量を3年以上貯蔵した原酒だけを使用して、
味わいに深みと重厚感のある唯一無二の
樽貯蔵芋焼酎「ENVELHECIDA(エンヴェレシーダ)」が
誕生したのです。